議事録作成にAIを活用するメリット
「生成AIで業務改善・効率化」と聞いて,なにを思い浮かべるだろうか?
まずは文章作成や,画像生成が思い浮かぶと思う。しかし,意外と文章作成を使える機会は少ない。
会議の議事録は,生成AIで効率化できる絶好のタイミングだ。
なぜなら,一度自分で書いた文章を読み直し,誤字脱字を確認して体裁を整えて清書しなおすという行為にはかなりの時間がかかるからだ。
全体を一瞬で把握し必要な箇所を抜き出したり,違和感のある場所を修正するのはAIの得意分野だ。
そこで今回は,生成AIは議事録作成にどうやって応用できる?という点を具体的に調べてみる。
Claude Sonnet 4での議事録作成手順
手書きメモの準備
今回は,Claude-Sonnet-4を使用した。
まず,手書きで以下のような議事録を作成してみた。
イメージはメーカーの会議室で,対面で会議をしている様子だ。

「2025年6月17日 14時~15時
大会議室
出席者:田中部長,加藤課長,島田課長,浅野係長,飯田,武田
書記:武田 進行加藤課長加藤課長: 本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。議題は「本課における予算の進捗状況」についてです。各案件の現状と課題について確認し、今後の対応策を検討したいと思います。
田中部長: よろしくお願いします。それでは、まず全体の概況から説明してください。
加藤: 現状、今四半期の予算進捗率は70%を達成しており、年度末までの目標達成は十分可能と考えております。ただし、Bプロジェクトに若干の遅れが生じているため、そこが懸念材料となっております。詳細について、島田課長から補足説明をお願いします。
ただし
プロジェクトは若干お呉れており,懸念材りょう。島田かちょう から補足
島田Bプロジェクトについて報告。現在,顧客のC商事から納品遅延,作業停滞中。
当初予定の5月納品が6月にずれ込む予定。
しかし,作業スケジュールの見直しにより対応可能,他の予定を前倒しにすることで,最終的な関柳雄磁気への影響は地裁。
田中・承知しました。クライアントに説明は?
島田:説明済みです。
田中はい。それでは,D案件はどうか?
加藤担当の朝のから説明いたします
あさの:全体の進捗85%,基本ていには順調。顧客のE社も中間成果物に満足している。
システム導入ふぇ0ずで想定外の技術課題が生じている。
既存の基幹システムとの互換性に難あり。
田中:具体的には
浅野:E社のデータ形式が,我々の想定と異なる。自動移行ツールでは完全に移行できないため,手動での対応が必要。
そのため,若干スケジュールが遅延するが,全体の進行といては問題なし。先方も了承済み。
田中: 各案件の報告をありがとう。
全体的に見ると、いくつかの技術的課題や外部要因による遅延はあるものの、概ね順調に進行していると。
特にD案件の技術的課題については、早期解決が重要です。浅野係長、必要であれば追加リソースの配置も検討しますので、遠慮なく相談してください。
浅野 ありがとうございます。現時点では現在の体制で対応可
田中 。また、今四半期の好調な進捗を維持するため、来月からは週次での進捗確認も実施したいと思います。
加藤: 次回の定例進捗会議は、来週火曜日の同時刻、14時から15時で設定いたします。会議室は改めて連絡いたします。
田中: それでは、本日の会議はこれで終了、お疲れさまでした。」
誤字の数や敬称を付ける暇がない部分など,わりとそれっぽいと思う。
まずはシンプルに,この文章をAIに打ち込み,「議事録を作成してください」と頼んだ。
基本的な議事録生成
結果,以下の文章が出力された。
「予算進捗状況会議 議事録
会議概要
日時: 2025年6月17日(火)14:00~15:00
場所: 大会議室
議題: 本課における予算の進捗状況
進行: 加藤課長
書記: 武田
出席者
田中部長
加藤課長
島田課長
浅野係長
飯田
武田
会議内容
- 全体概況報告(加藤課長)
今四半期の予算進捗率:70%達成
年度末までの目標達成は十分可能
懸念事項: Bプロジェクトに若干の遅れが発生
- Bプロジェクトの状況報告(島田課長)
現状
顧客:C商事
問題:納品遅延により作業停滞中
当初予定:5月納品 → 6月にずれ込み
対応策
作業スケジュールの見直しを実施
他の予定を前倒しにすることで対応
最終的な全体スケジュールへの影響は最小限
クライアント対応
C商事への説明は完了済み
- D案件の状況報告(浅野係長)
進捗状況
全体進捗:85%
基本的に順調に進行
顧客E社は中間成果物に満足
技術課題
システム導入フェーズで想定外の技術課題が発生
既存の基幹システムとの互換性に問題あり
E社のデータ形式が想定と異なる
自動移行ツールでは完全移行できず、手動対応が必要
対応状況
若干のスケジュール遅延が発生
全体の進行には問題なし
E社の了承済み
今後の対応
田中部長からの指示
D案件の技術課題の早期解決を重視
必要に応じて追加リソースの配置を検討
浅野係長は遠慮なく相談すること
進捗管理体制の強化
今四半期の好調な進捗を維持するため
来月から週次での進捗確認を実施
次回会議予定
日時: 来週火曜日 14:00~15:00
場所: 改めて連絡予定
会議終了
15:00に会議終了」
非常に簡潔で分かりやすい議事録が出力された。このまま上司に提出しても文句は言われない完成度だ。
これだけでもすごいが,もう少し手を加えられないだろうか。
フォーマット指定での議事録生成
実際の生成結果と品質評価
例えば,会社や部署によっては議事録のフォーマットがある。フォーマットを読み込ませることで,
それに則った議事録を作成できるだろうか。
例として,以下のフォーマットを与えてみる。
「議事録
20xx年x月x日,x会議室,x~x
議題:
出席者:
会議内容
2.
3….
今後の課題・対応
次回予定
書記:x
進行:x」
結果,以下の通りあっさりとフォーマットに従って出力された。しかも,かなり分かりやすい。
議事録
2025年6月17日,大会議室,14:00~15:00
議題: 本課における予算の進捗状況
出席者: 田中部長,加藤課長,島田課長,浅野係長,飯田,武田
会議内容
- 全体概況報告
今四半期の予算進捗率70%を達成
年度末までの目標達成は十分可能
Bプロジェクトに若干の遅れが発生し懸念材料となっている
- Bプロジェクト状況報告
顧客C商事からの納品遅延により作業停滞中
当初予定の5月納品が6月にずれ込む予定
作業スケジュールの見直しにより対応可能
他の予定を前倒しにすることで最終的な全体スケジュールへの影響は最小限
クライアントへの説明は完了済み
- D案件状況報告
全体の進捗85%,基本的には順調
顧客E社も中間成果物に満足している
システム導入フェーズで想定外の技術課題が発生
既存の基幹システムとの互換性に問題あり
E社のデータ形式が想定と異なり,自動移行ツールでは完全に移行できないため手動での対応が必要
若干スケジュールが遅延するが,全体の進行には問題なし
先方も了承済み
今後の課題・対応
D案件の技術的課題の早期解決が重要
必要であれば追加リソースの配置も検討
今四半期の好調な進捗を維持するため,来月から週次での進捗確認を実施
次回予定
来週火曜日の同時刻,14:00~15:00(会議室は改めて連絡)
書記: 武田
進行: 加藤課長
まとめ
下書きを単にClaudeに打ち込み,「議事録を作成して」と依頼するだけで非常に分かりやすい議事録を出力してくれることが分かった。
しかも,フォーマットを指定することも可能である。
これまでは,議事録は大きい会議や重要な会議でのみ作成していたかもしれない。作るのが結構大変だからだ。
しかし,ここまで議事録作成が簡単になったのであれば,普段小さい会議でも取っているメモ書き程度から十分に議事録を作成できそうだ。
そうすれば,単なる走り書きよりも格段に分かりやすく,思い出しやすい文章として記録を残すことができる。
大事な議事録を作成するコストを削減するだけでなく,普段のメモの文章化にも役立つのだ。
今回紹介した議事録作成は,生成AI活用の非常に基本的な内容かもしれないが,だれにでも実行でき,また効果が大きいものだと思う。
生成AIは未だ100点ではなく,詳しく記述しても思った通りの成果物を出してくれない場合も多い。
それに対して,今回の議事録作成はわずか1行の命令で思った通りに実行してくれた,これは大きい。
生成AIで業務効率化を目指す人は,まずはこのような単純な例から取り組んでいってほしい。
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