剥離強度・ピール強度の単位換算ツール

peel test Chemistry
剥離接着強さ換算ツール

剥離接着強さ換算ツール

各種単位間での剥離強度を瞬時に換算

最も一般的な剥離強度の単位
換算結果
N/mm 0.000
kN/m 0.000
N/25mm 0.000
kg/25mm 0.000
換算について
• N/mm と kN/m は等価な単位です
• N/25mm は試験片幅25mmでの力を表します
• kg/25mm は重力加速度を考慮した重量換算です
• 計算結果は目安としてご使用ください

接着剤やテープの性能評価において、剥離強度(ピール強度)は最も重要な指標の一つである。しかし、この測定値には様々な単位が存在し、国際規格と国内規格、さらには業界ごとに異なる表記が使われているため、技術者にとって単位換算は日常的な課題となっている。

本記事では、剥離強度の基本概念から実際の測定方法まで、そして便利な単位換算ツールの活用について詳しく解説する。特に、N/mm、kN/m、kg/25mmといった主要な単位間での換算方法について、実用的な観点から説明していく。

ピール強度、剥離強度とは?

基本的な定義と概念

剥離強度は、接着された2つの材料を引き剥がすのに必要な力を、単位幅当たりで表した値である。この値は接着剤の性能を定量的に評価する上で不可欠な指標となっている。ピール強度という用語も同じ意味で使用されており、英語の「Peel Strength」を直訳したものである。

接着において重要なのは、剥離強度が接着剤そのものの性能だけでなく、被着材の性質、表面処理の状態、環境条件など多くの要因に左右されることである。そのため、標準化された試験方法により一定の条件下で測定することが重要となる。

剥離強度の物理的意味

剥離強度を理解するためには、接着界面で起こる現象を知る必要がある。接着された材料を剥離する際、接着界面には引張応力、せん断応力、そして曲げ応力が複合的に作用する。この複雑な応力状態により、接着層内で破壊が進行し、最終的に材料が分離される。

剥離強度の値は、この破壊過程で必要となる最大の力を、試験片の幅で除した値として表される。一般的に、柔軟な接着剤ほど剥離強度は高くなる傾向があり、これは変形により応力を分散できるためである。逆に、硬い接着剤では応力集中が生じやすく、比較的低い剥離強度を示すことが多い。

単位と表記の多様性

剥離強度の単位は、測定に使用する規格や地域により異なる表記が用いられている。国際単位系(SI)では、N/mm(ニュートン毎ミリメートル)が基本単位として推奨されているが、実際の現場や特許では様々な単位が混在している。

日本国内では、JIS規格に基づくN/25mm(ニュートン毎25ミリメートル)がよく使用される。これは、標準的な試験片幅が25mmに設定されているためである。また、従来から使用されているkg/25mm(キログラム毎25ミリメートル)も、重量感覚で理解しやすいことから現在でも用いられている。

海外、特にヨーロッパでは、kN/m(キロニュートン毎メートル)という表記が一般的である。この単位は、実はN/mmと数値的には同じ値を示すため、換算の必要がない。

測定における技術的課題

剥離強度の測定は、一見単純に見えるが、実際には多くの技術的な課題を含んでいる。まず、剥離角度の制御が重要である。90度剥離と180度剥離では、同じ材料でも大きく異なる値を示すため、測定条件の標準化が不可欠である。

また、剥離速度も結果に大きな影響を与える。一般的に、剥離速度が速いほど高い剥離強度を示す傾向があるが、これは接着剤の粘弾性特性によるものである。そのため、各規格では剥離速度が厳密に規定されている。

環境条件、特に温度と湿度の影響も無視できない。多くの接着剤は温度上昇により軟化し、剥離強度が低下する。湿度についても、水分の吸収により接着力が変化する材料が多い。これらの要因を考慮し、標準状態での調湿が試験前に行われる。

実際の測り方

試験方法の分類と特徴

剥離強度の測定には、主に90度剥離試験と180度剥離試験の二つの方法がある。90度剥離試験では、可撓性のある材料を剛性基材から垂直方向に剥離する。この方法は、実際の使用状況により近い条件での評価が可能であり、粘着テープやラベル材料の評価によく用いられる。

90度ピール試験の様子

90度ピール試験

90°
剥離力
2.5 N/mm
ステンレス基材
粘着テープ
90度ピール試験: 粘着テープを基材から垂直方向(90度)に剥離し、
剥離に必要な力を測定する標準的な接着強度評価方法

180度剥離試験は、可撓性材料を基材に平行に折り返して剥離する方法である。設備が比較的簡単で実行しやすいという利点があり、包装材料や医療用パッケージの密封強度評価に適している。どちらの方法を選択するかは、評価対象の材料と使用目的によって決定される。

その他の特殊な試験方法として、T字剥離試験がある。これは、2つの可撓性材料の接着面を垂直に引き剥がす方法で、医療機器や精密部品の接着評価に使用される。フローティングローラー剥離試験は、ローラーを使用して一定角度を維持する方法で、航空宇宙材料のような高性能材料の評価に適用される。

単位換算ツールの活用

異なる規格間での比較や、海外との技術情報交換において、単位換算は頻繁に必要となる作業である。例えば,特許の明細書中に記載されている接着強度の範囲に,自分の接着剤が該当するかの確認の際,谷が違えば換算して比較する必要がある。手計算による換算は、計算ミスのリスクがあるため、専用の換算ツールの使用が推奨される。

参考

https://www.cemedine.co.jp/basic/pro/standards/unit.html
https://marketing.ipros.jp/contents/basics/basic-adhesive1/
https://www.heidon.co.jp/archives/2713

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