はじめに
ChatGPT agentが新しくOpen AIから発表された。自律型AIエージェントを搭載しており,ChatGPTが仮想PCを使ってWeb操作や分析、資料作成などを実行してくれるようだ。
2025年7月18日現在はまだpro版でのみアクセス可能なようで,どれほど賢くなったのか期待が広がる。
また,Open AIはGoogleに対抗したAI検索エンジンとして ”SearchGPT” の開発を進めている。AIの発展で調べものはますます簡単に,そして文献を一つ一つ点検していく手間は大いに省くができるようになるだろう。
気になったのが,現在広く使用されている「検索型AI」の能力だ。「検索型AI」としては,PerplexityやGrok, ChatGPT-o3pro, Gemini-2.5, Claude sonnet 4などが挙げられる。これらは最新情報に基づいた答えを返すことのできるモデルだ。モデルの選択肢が多いのはありがたいことだが,生成AIの覇権をめぐって争う現代では多すぎて,どのモデルを選べばよいかが分かりづらい。
そこで今回は,問いに対してそれぞれのAIがどのように返答するかを比較検証してみた。比較対象に選んだのは「ChatGPT-o3 pro DeepResearch」「Perplexity Pro Search」「Claude Opus 4 DeepResearch」の3つである。
比較内容
まずは,ざっくりと文字数と文献数,出力までの時間での比較を行った。
比較用の質問は,以下の通り入力した。日経新聞で記事を見て気になった企業だ。
結果
結果は,以下の通りであった。
Perplexity Pro Search:文献数40件,文字数1177文字,出力まで1分程度
ChatGPT-o3 pro DeepResearch:文献数30件,文字数8,115文字,出力まで8分程度
Claude Opus 4 DeepResearch:文献数373件,文字数4918文字,出力まで6分程度
それぞれの特徴
Perplexity Pro Search
まずPerplexity Pro Searchだが,文字数は1000文字程度と少し短かったが,出力まで1分とかからない圧倒的な速さを誇った。今回の3つの中では,最も今の検索エンジンに近いと感じた。しかも,速かろう悪かろうではなく,リンクに問題のない参考文献が40件引用されており,文章自体も読みやすいものだった。特徴としては,英語の学術文献も拾ってくる所だ。他のAIでは論文をほぼ参照していなかったが,このPerplexity Pro SearchはIEEEなどから論文を引用していた。文書全体は,この記事文末に添付する。

Claude Opus 4 DeepResearch
続いてClaude Opus 4 DeepResearchだ。リサーチの完了と文章作成には,5分54秒と,少し長い時間がかかっていた。今すぐ知りたい,という気分の場合は遅い。しかし,驚いたのがその圧倒的な裏付け量だ。なんとソースが373件もある。何件か確かめてみたが,リンクに問題があるものは見られなかった。

別の特徴として,拾ってきたソースはすべて英語文献だった。指定がない場合はデフォルトでそうなるのか,日本の企業であるはずの株式会社EX-Fusionもわざわざ英語ページで拾ってきていた。カーソルを合わせて拡大したURLには,”en” の表記があるのがうかがえる。だが意外にも論文の引用はなく,ニュースサイトや企業の技術記事の紹介にとどまった。

ChatGPT-o3 pro DeepResearch
最後に,ChatGPT-o3 pro DeepResearchだ。大きな特徴としては,出力された文字数が8000文字程度で,しかもレポートとして体裁が整ったものであった。出力まで8分程度とかなり長い時間を要したものの,完成度から考えると全く文句がない。参考文献は英語と日本語の文献が半々くらいで,プレスリリースなど企業の発信に重心を置いた引用の仕方だった。
まとめ
結果としては,いずれも参考文献のしっかりとした,まとまりのあるレポートを作成することができた。Claude Opus 4 DeepResearchは技術的深度を重視した専門文書で,とにかく参考文献が多い、ChatGPT-o3 pro DeepResearchは企業ストーリーを重視した一般向け文書で,レポートとしての出来が高い、Perplexity Pro Searchは要点を整理した実用的な要約で,極めて出力が速いという、それぞれ異なる構成や機能を有していた。今回まとめたレポートを読み,EX-Fusion自体にも非常に興味が湧き,提示されたリンクから企業ページや技術系のサイトなどを読み漁った。近い将来,検索を行うとこのようにレポート様式でまとめられ,そこから必要な文献をピックアップするのが一般的な「検索」になるのかもしれない。
補足:PerplexityによるEX-Fusion(エクスフュージョン)概要
EX-Fusionは、日本発のレーザー核融合技術を用いた商用炉の実現を目指すスタートアップです。2021年7月に大阪大学発ベンチャーとして設立され、日本で唯一のレーザー核融合に特化した企業です1, 2, 3。
事業・技術の特徴
主な論文・研究成果
- 高速点火方式の研究
創業者の松尾一輝氏らが大阪大学レーザー科学研究所で、高速点火方式による効率的な核融合プラズマ加熱を実証(Phys. Rev. Lett. 124, 35001 (2020) など)5, 4。 - 連続ターゲット投入・レーザー照準技術
10Hzのビーズペレット連続投入とレーザー照準システムの開発・実証4。 - 液体金属ブランケット開発
東京工業大学との共同研究で、レーザー核融合炉向け液体金属ブランケットの技術開発を推進6。
主要メンバー
氏名 | 役職 | 経歴・専門分野 |
---|---|---|
松尾 一輝 | 共同創設者 CEO | 大阪大学大学院博士(物理学専攻)、高速点火方式核融合5, 7 |
森 義崇 | 共同創設者 CTO | 光産業創成大学院大学 准教授、超高強度レーザー、レーザー粒子加速5, 7 |
増田 浩一 | CRO | Google、Fenice Energy等での経験8 |
その他 | エンジニア等 | 多様な分野からの研究者・技術者が在籍5, 9 |
資金調達・提携
- 資金調達
- 産官学連携
目標・将来性
- 目標
- 将来性
まとめ
EX-Fusionは、レーザー核融合という独自路線で、商用炉の早期実現を目指す日本発の注目スタートアップです。基礎研究から実用化まで、産官学連携と積極的な資金調達によって、カーボンニュートラル社会の実現や新産業創出に大きな期待が寄せられています。
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