前の記事で,Claude4はなかなか凄そうだという内容を紹介した。https://chemistdailylab.com/?p=21しかし,ちょっと漠然とした内容で,どれくらいClaude4が使えそうなのか?というのがいまいちつかめなかった。そこで,「コード生成が得意」という前評判のClaude4に,プログラムを作らせて遊んでみた。
入力内容
化学構造をball and stickで表示するプログラムを書きたいです。pythonで出力してください。
出力内容

一行の命令で,それっぽいアプリが出力された。相当行間が補足されており,原子を色で分ける機能や,原子数と結合数を表示する機能さえ備わっていた。これは結構驚きで,1年ほど前にGPTで試したときは,「メタンの分子構造を書きました!」みたいな結果が返ってきただけだったからだ。それに比べると,「化学構造をball and stickで表示するとはどういうことか?」をAIが判断する能力が極めて高くなってきているということだ。コードの修正能力も試してみた。

入力
このコードに,「水素追加ボタン」を追加し,結合の手が空いている所に水素を埋める機能を追加してください。
出力

これも一発で修正された。指示は割とふんわりしており,「結合の手が空いている所」のような漠然とした範囲を指定している。それでもなこちら側の意図をしっかりと汲み取り,しかも追加される水素の数は正しく,位置も自動で調整されていた。それでは,3D表示機能はどうか?
こちらは残念ながら,多少見た目が悪い結果となった。先ほどの実装でハードルが上がってしまった。しかし,見た目の崩壊はしていないし,何となく正しい角度を作ろうとした形跡がうかがえる。また,静止画では分からないが,マウスでくるくると画像を回転させることができる。

特に印象的だった点
一発回答の完成度
- 雑な要求を一度で正確に理解
- きっちり動作するコードを即座に生成
- 想定していた以上の機能を実装
今後の可能性
今回は一度の命令と,一度の修正でかなりまともに動くソフトウェアを作ることができた。修正を繰り返せば,Chemdrawのような分子描画ツールを作ることも可能だろう。驚くべきことは,「一切プログラミングコードを用いた指示を当たることなく」きちんと動作するコードを出力した点だ。これまでの生成AIだと,生成したコードを実行すると大体何らかのエラーで起動できず,起動するところからトライ&エラーが必要だった。
このような高性能なAIが利用可能になったことで、プログラミングの敷居は大幅に下がったと言える。専門的な知識を持たない分野でも、AIと協力することで高品質なアプリケーションを開発できる時代が到来しているのだ。
直接役に立つツールを使うにももちろん役立つが,特に教育分野では、このような直感的で高機能なツールが学習効果を大幅に向上させる可能性がある。簡単なソフトを作ってもらう→コードを学ぶというサイクルを高速で回せるのだ。また、研究者にとっても、アイデアを素早く形にできるツールとして非常に価値があると感じた。
今後も,生成AIで色々と遊んでみようと思う。
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