はじめに:生成AIは何に使えるのか?
昨今の生成AIブームから,「生成AIは何に使えるのか?」という問いは,分野や年齢を問わずされている。
また,生成AIを触ってみて,「あんまり使えないな……。」と感じている人も多いと聞く。
しかし,目的と達成する手段が明確なら,生成AIによって極めて効率の良い作業ができると考えている。
例えば今回紹介するのは,生成AIを使ったWebゲーム作成だ。
プログラミング経験がほぼゼロの私が、わずか1時間でパズルゲームを作成できたのだ。
使用したのはAnthropic社の最新AI「Claude-Opus-4」(2025年6月現在)である。
この記事では、生成AIが専門知識の壁を取り払い、誰もがクリエイターになれる時代の到来を、実例を通じて示していく。
プログラミング素人の挑戦:1時間でゲームは作れるか
驚きのスタート
私のプログラミング経験は、学生時代に授業でPythonを触った程度。今「何か動くソフトを作れ」と言われても絶対無理だ。JavaScriptに至っては、HTMLとの違いすら曖昧だ。
そんな私が、最近話題のClaude-Opus-4にゲームを作れないか相談したのが始まりである。
目的は,「何か化学に関する面白そうなゲームを作る」で,手段はJavaScriptであった。
自然言語でのゲーム開発
「元素を落として繋げて、分子を作るゲームにしたい」という曖昧な要望から、AIは具体的な実装を開始した。開発プロセスは以下のようなものだった:
0分~15分:基本的なゲームシステムの実装:どんなゲームにするか?
15分~30分:分子認識アルゴリズムの追加:どんな分子を導入するか?
30分~45分:視覚エフェクトとアイテムシステムの実装:見た目をどのようにするか?
45分~60分:バグ修正と細かい調整:ひたすら遊んでデバッグ
完成したのが,以下のゲームだ。HTML型式で,WEBで遊ぶことができる。(2025年6月23日現在,PCのみ対応)
基本的な遊び方としては,上から元素が降ってくるので,うまく結合できそうな所へ運び,H2OやCH4などの分子を作成する。元素がたまりすぎて,上に着いてしまうとゲームオーバーだ。作成した分子は消え,ポイントが手に入る。最初の方で,たまたま全消しボーナスが入っている。


また,途中で無駄な元素が増えすぎてしまい,にっちもさっちもいかなくなった時用に,お助けアイテムも実装している。「列消去」は文字通り,指定した列の元素をすべて消去する。「爆弾」は指定した3×3マスの元素を消すことができる。


以上がゲームのおおよその説明だ。ものすごく面白い!というわけではないが,ゲームとして完全に成立している。何かのゲーム内のミニゲームとしてなら十分仕事をするだろう。繰り返すが,筆者はHTMLやJavaScriptは全く分からない,ただClaude-Opus-4と壁打ちを15回ほどしただけである。
生成AIが解決した技術的課題
プログラミング素人の私には理解さえ困難な以下の要素を、Claude-Opus-4は瞬時に実装した:
Canvas APIを使用した2Dグラフィックス
複雑なゲームループとタイミング制御
化学的に正確な分子構造の認識アルゴリズム
リアルタイムのアニメーションエフェクト
生成AIは何に使えるのか:具体的な活用例
このゲーム開発を通じて、生成AIの具体的な活用方法が明確になった:
アイデアの即座の実現
「こんなものがあったらいいな」という漠然としたアイデアを、実際に動くプロダクトに変換できる。プログラミング知識は不要で、必要なのは明確なビジョンと、それを言語化する能力だけである。
教育コンテンツの民主化
これまで専門企業や熟練プログラマーしか作れなかった教育ゲームが、教師や保護者でも作成可能になる。子供の興味や学習進度に合わせたカスタマイズも容易だ。これは,以前の記事でも触れた。
プロトタイプの高速作成
ビジネスアイデアの検証や、新しいコンセプトの実験が、数時間で可能になる。
失敗のコストが劇的に下がり、イノベーションが加速する。
技術的詳細:生成AIがどのようにコードを生成したか
完璧な初期実装
最も驚いたのは、Claude-Opus-4が最初に生成したコードがほぼ完璧に動作したことだ。
約1500行のJavaScriptコードに、致命的なバグはほとんど存在しなかった。
非常に簡易な改善
例えば,初期のコードでは二重結合ボタンを連打できた。しかし,「二重結合ボタンを一度使ったら、次の元素まで使えないようにして」といった追加要望に対し、AIは既存のコードを壊すことなく、適切な場所に新しいロジックを追加した。
エラー対応
唯一発生した起動時の「startGame is not defined」というエラーも、エラーメッセージを伝えただけで即座に修正された。AIは自分が書いたコードの構造を完全に把握していたのだ。
プログラミング素人が感じた生成AIの可能性と限界
技術的障壁の消滅:アイデアさえあれば、誰でも何でも作れる
学習曲線の短縮:作りながら学べる。生成されたコードが最高の教材になる。
創造性の解放:技術的制約を気にせず、純粋にアイデアに集中できる。できるかな?を主ttあアイデアをそのままAIに聞いてみるだけでよい。
現時点での限界
大規模システムの設計:1時間で作れるのは、単一ファイルで完結する規模まで。
パフォーマンス最適化:動作はするが、最適化されているとは限らない。ここはやはり,プログラミングの知識が生きてくる部分。
独自性の高いUI:革新的なインターフェースは、まだ人間のセンスが必要。LLMの限界。
まとめ:生成AIが変える創造の未来
プログラミング素人の私が1時間で化学パズルゲームを作成できた事実は、生成AIの可能性を端的に示している。
「生成AIは何に使えるのか?」という問いへの答えは明確で、誰もがアイデアを形にできる民主的な創造ツールである。
Claude-Opus-4のような生成AIは、専門知識という障壁を取り除き、創造性を解放する。
教育、ビジネス、エンターテインメント、あらゆる分野で、アイデアを持つ人すべてがクリエイターになれる時代が到来している。
この化学パズルゲームは、その可能性のほんの一例に過ぎない。
重要なのは、もはや「作れるかどうか」ではなく、「何を作りたいか」という問いになったということだ。
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